2020/04/01
株式会社ニューモア、デビュー!
2020.04.01
本当に、大変な事態が全世界で起こってしまっている今。
そんな最中のお知らせになってしまって複雑な気持ちもあるのですが、
でもご報告させてください。
私YORIKOは2020年4月1日に、
株式会社を設立する運びとなりました。
名前は、
・・・
そうです。
御察しの通り(?)
ニューモア、です!
設立に至った背景は話せばながーくなってしまうのですが、
順を追って書いていってみます。
もしもお時間あれば、ご一読いただけると嬉しいです。
↓
これまでの人生、デザインとアートの分野であれやこれやと試行錯誤してきました。
ひとつひとつ愛着ある仕事をさせてもらってとても幸福な一方、
「人生で一本、筋を通して挑戦したいことは何なんだろう」
という疑問がどこかふわふわ漂っていました。
デザインもアートも大変奥が深いものだとわかっていても、
その道を極めるで!という姿勢にもなりきれず、あたしゃ中途半端だなあと思っていて。
こんな自分が何かこう、カチっとはまる場所はあるんだろうかと考えていたのですが、
去年の終わりごろにひとつ答えが見え、今回の決断に繋がりました。
↓
きっかけとなる出会いが2019年の夏、八王子市でありました。
八王子にはまちづくり×ものづくりに広く関わるAKITEN というNPO法人さんがいて、
普段から多方面でお世話になっている、心底信頼している方々です。
そのAKITENがプロデュース役で立ち上げる店舗があり、内装のご相談をもらって訪ねたのが、
障害のある方のB型就労支援事業所を経営する「NPO法人しあわせのたね」さんでした。
その時の記事はコチラ
利用者さんたちに店の壁用に描いてもらった植物の絵は、
なんというかこちらの予想を超える、それは素敵なものでした。
見る人の心をあっためてくれるような、のびのび軽やかな世界観。
個性の違うそれぞれの絵を色味や線を揃えて大きく壁に模写すると、まとまりが出てひとつの楽しい世界が飛び出すような仕上がりになりました。
壁が完成して事業所の方々に喜んでもらえたことも嬉しかったですが、
何よりも自分自身にとって、大きな感動と発見が生まれたのです。
↓
あまり人に話してこなかったことなのですが、
私には重度の発達障害を抱えている家族がいて、
このことは小さい頃から大きな壁でした。
ある意味コンプレックスだったし、どう折り合いを付けたら良いかわからないまま、
自分は自分でやるんだと切り離して考えるようにしていました。
大きくなるにつれ少しずつですが、家族それぞれの苦悩を想像したり話を聞くようになって、
親にとっての最大の不安は自分がいなくなった後、子がどう社会の中で生きていくかということだとも聞きました。
何が当人にとっての幸せか、というのは人のものさしで決めるものじゃない。
ただ社会の中で「働く」ことができる状況というのは、
家族にとって切なる願いのひとつなんだと感じました。
↓
この自分の背景が八王子での出会いを経て、
こうした絵の世界観を生み出せる人たちと一緒に働けないかと考えるようになりました。
そうして誕生したアイデアが、
「障がいを持つ人々と協働で仕事をするデザインスタジオを作る」というものです。
ポスター、装丁、テキスタイル、空間と、こうした絵が活きる場所はきっとたくさんあるはずで、
デザインと組み合わせて、そのニーズを広げていけないかという試みです。
役割としては「アーティスト」と「イラストレーター」との違いがひとつポイントかと考えています。
アートが純粋美術と訳されるのに対しイラストレーションは商業美術と呼ばれ、
個人的には自己発信と受託制作のどちらが先に来るかがそれぞれの特徴かなと感じます。
もちろん垣根を超えて横断してる方も多くいらっしゃいますが、
今回の試みは後者の受託制作、お客さんのオーダーに応えるものづくりへの挑戦で、それにはたくさんの練習と完成度が求められ、
一連の流れをコーディネートし寄り添って指導していく役、そしてデザインを完成させる役が必要です。
イラストレーションとデザインは、パートナーの関係性だと思っています。
その役目が自分に担えたら?それはとても幸せなことなんじゃないか。
そう思った瞬間、パズルがカチッとはまった音がしました。
障がいと言われるものの向こうにある才能、能力を社会に納め、対価をもらうこと。
協働を楽しみ達成を祝い、自己肯定につなげること。
この「仕事をする喜び」を得る仕組みづくりに挑戦したいと思ったのです。
↓
もうひとつ、やりたかったことが再浮上しました。
2016年に香川県高松市で始まった「おやこ小学校」という企画です。
これは小学生とその保護者さんに「同級生」という程で参加してもらい、地元の専門家と一緒に様々な授業を実施するという内容です。
高松市文化芸術振興課さんの事業で、その後も2019年に豊島区(東アジア文化都市2019)で企画制作させていただきました。
とても愛情深いプロジェクトとなり、いつか自分でも出来たらいいなとふんわり考えていたのですが、
この2つを同じ場所でやるのはどうだろう!
ピーンときたわけです。
活動する曜日を変えて開催すれば1つの場所を活用できるし、
また、子どもさんたちと障がいを持つ方々とが自然に交わる機会を多く作りたいとも思っていました。
(それ以外の日は自分の仕事場として使えば、なんとかお家賃も払っていけるかな...という試算です。)
場所の名前は「想造楽工(ソーゾーガッコー)」。
想いを造る楽しい工房、に決まりました!
この事業と場所作りをするには大きなお金と覚悟、
そしてきちんと言語化し、人に伝える力が必要不可欠だ。
それには一個人でやろうとするんじゃなくって、
そうだ、法人化だ!
↓
兎にも角にもそんな経緯で株式会社ニューモア、
ひっそりと誕生しました!パチパチ。。
設立したといっても私ひとりの小さな会社で、日常業務は当面今まで通りです。
事業内容をまとめるとこんなかんじです。
企業理念にした、
「世代や属性を超えた『協働』を実現させ、にぎわいと喜びあふれる場を生み出す。」
この言葉で、自分がこれまでやってきた+これからやっていくことが一貫されるといいなと思っています。
今まで「参加型」というワードを多く使っていたのですが、
参加というと主客の関係性が分かれている気がしていて。
目指したいものはその一歩向こうの「一緒に創り上げる」状況だなあと感じ、
全ての事業で「協働」という言葉を意識してやっていこうと思っています。
さて、さて、というわけでここからはなるべく色んな人とお話をしていき、
来年2021年に想造楽工を開始させたいなと思っています。
(とはいえちょっと先行きが読めない情勢ではありますが、
とはいえ動いていかないとな、というところです。)
世の中がこんな状況の時で、自分なぞのお知らせをするのはやめて置いたほうが良いかなとも思ったのですが、
お世話になっている税理士さんから「こんな時だからこそ明るい話題を出しましょう」と背中を押してもらいました。
明るい話題になるかは定かでないですが、やると決めて実行した自分なりに大きな挑戦をここにお知らせしました。
今回の設立にあたっては、八王子市市議会議員兼NPO法人AKITENの代表である及川賢一さんはじめ、たくさんの方に相談に乗っていただき、数々の助言と勇気をもらいました。
いつも一番近くで寄り添って支えてくれる夫さん、
自分の背景を作ってくれた家族にも心から感謝です。
そしてこの決断に到れたのは、これまでの道を共走してくださった、お仕事を依頼してくれた方々あってのことです。
本当にありがとうございました。
生まれたてピヨピヨの小さな企業ですが、社会のためにできることを精一杯模索していきますので、
これからもどうぞよろしくお願い致します。
*ちなみに、ニューモア(NEWMOR)とは「おニューなユーモア」が由来の造語で、
2009年に専門学校の卒業制作で作って以来、謎に苗字のような使い方をしてきたことばです。
度々「この言葉って何なの?」と聞かれ、このように着地できるとは思ってもいませんでしたが...
ユーモアという言葉のニュアンス:人間らしさ、その中にある可笑しみ、という文脈がすごく好きで、
ふっと笑ってしまうようなあたたかいものづくりがしたいと思い、使ってきました。
でも11年前の造語をこのまま使うのもねえ、と友達に話した時、
よりこらしい言葉だよ!と言ってもらって、正式にずっと付き合っていくことにしました。
ロゴマークもそのまま、小さくIncとつけただけです。
激動の時代に負けず、人生を楽しく前向きに過ごすにはどうしたら良いか。
各人が自分の個性、持ち味を活かせる活動・仕事をし、
違う個性を持つ人と協働し、互いに尊重しあうこと。
達成した喜びを共に分かち合うことだと思っています。
世の中大変な情勢ですが、必ず終息の時、そして世の中のにぎわいが復活する時は訪れるんだ。
やってやるぞ人類!みなさん、頑張りましょうーー。
ツヅク!
